PM2.5は子どもの学習機能を低下させる

大気中に含まれる見えない微粒子が子供の学習機能と肺の成長を妨げる
PM2.5は呼吸をすることで体内に取り込まれ一部は中枢神経系に影響を及ぼします。スペイン・バルセロナで行われた徒歩で通学する小学生約1,200人を対象にした研究によると、PM2.5による大気汚染は子供たちの作業記憶と注意機能に影響することが報告されています*1。また、PM2.5濃度は高齢者の認知機能低下の危険因子であることも報告されています*2。
肺の成長と機能(パフォーマンス)にはきれいな空気が大切
肺をはじめ身体の臓器とその機能は、胎児そして生後の乳児から青年期まで成長し続けます。妊娠中のお母さんの喫煙やPM2.5などで汚染された空気は胎児の肺の成長を妨げます。また、副流煙や汚染された空気は乳児から青年期までの肺の成長と機能に影響を与えます*3。米国・カリフォルニアでの4つの地域、11,000人以上の生徒を対象にした研究ではPM10、PM2.5、炭素、NO2の濃度の高い地域に住んでいる子供たちで肺機能の低成長が報告されています。このように、肺の成長が妨げられると肺の低成長となり慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎にかかり易くなる事が知られています。青年期以降も汚染された空気から体を守ることは大切ですが、肺の成長と機能には特に胎児から青年期まできれいな空気が重要です。
【文献】
*1 Alvarez-Pedrerol M, et al. Impact of commuting exposure to traffic-related air pollution on cognitive development in children walking to scho Environmental Pollution 231 (2017) 837-844.
*2 Cacciottolo M, et al. Particulate air pollutants, APOE alleles and their contributions to cognitive impairment in older women and to amyloidogenesis in experimental model Transl Psychiatry (2017) 7, e1022; doi:10.1038/tp.2016.280
*3 Every breath we take: the lifelong impact of air pollution- Royal College of physicians